ACSMガイドラインに基づく有酸素運動の推奨プロトコル(FITT原則)
今回はACSM(アメリカスポーツ医学会)が発行している運動処方ガイドラインである、 “ACSM’s Guidelines for Exercise Testing & Prescription, 12th edition” から抜粋して健康な一般成人向けの有酸素運動の推奨プロトコルをご紹介します。
まず、運動処方という考え方の定義を以下にお伝えします。
一般に運動処方とは、特定の目的のために設計されたフィットネス関連活動の具体的な計画を指し、多くの場合フィットネスやリハビリテーションの専門家がクライアントや患者のために作成するものである。
「原文」
Exercise prescription commonly refers to the specific plan of fitness-related activities that are designed for a specified purpose, which is often developed by a fitness or rehabilitation specialist for the client or patient (Patel & Sinert, 2022).
ここで言う特定の目的とは、健康増進と生活の質の向上・疾病予防・治療および疾病管理などを指しています。ACSMのガイドラインには特別な状況における運動処方の方法も記されていますが、この記事では健康な一般成人の健康増進を主な目的とした場合の有酸素運動の推奨プロトコルをご紹介したいと思います。
運動処方においてとても重要視されているのが、FITT原則です。F は Frequency(頻度)、I は Intensity(強度)、T は Time(時間)、もう一つの T は Type(種類)です。これを踏まえて以下の表にガイドラインをまとめました。
1週間の身体活動量の目安は、中程度の運動なら合計300分であり高程度の運動なら合計150分が推奨されています。
ここで、補足として強度の欄に記載されている HRR について解説します。HRR とは Heart Rate Researve の略で日本語では心拍数予備能と訳されます。最大心拍数と安静時心拍数の差のことであり、運動強度を決定するために利用されます。以下に計算式を示します。
・計算式:HRR = 最大心拍数 – 安静時心拍数
HRR を用いて運動時の目標心拍数を計算することができます。例えば中程度の有酸素運動強度である HRR 50% を考えてみましょう。仮に A さんの安静時心拍数が 70 bpm で、最大心拍数が 170 bpm だとしましょう。

HRR は最大心拍数と安静時心拍数の差なので、100 bpm(170 bpm – 70 bpm)ですね。目標が 50% となっている時、目標心拍数は以下のように計算されます。
・計算式:目標心拍数 = HRR × 0.5(50%)+ 安静時心拍数
ですので、A さんの目標心拍数は 100 × 0.5 + 70 = 120 bpm となります。 この心拍数をターゲットに運動強度を設定すると良いと言うことですね。
【参考文献】
American College of Sports Medicine. (2026). ACSM’s guidelines for exercise testing and prescription (12th ed.). Wolters Kluwer.
Patel, M., & Sinert, R. H. (2022, November 30). Exercise prescription. Medscape. https://emedicine.medscape.com/article/88648-overview